今年PACHA FESTIVAL TOKYO 2016で、再来日を果たした、オランダのスーパースターFedde Le Grand。アルバム『Something Real』の国内盤5月25日リリースを控える中、iFLYERとの単独インタビューに応じてくれたFedde Le Grand!
 

フィリピン・マニラのSummer Sun Festival→オランダ・アムステルダムのKingsday Festival→日本・東京のPACHA FESTIVAL TOKYO 2016 KICK OFFと過密スケジュールの中、対応してきれたFedde Le Grand、本当にありがとうございました!リラックスした中、彼にアルバムや音楽の道のルーツなど色々な角度から話を聞いちゃいました!

Welcome to Japan! Ultra Japan 2015年以来の1年以内での再来日と成りましたね。日本のファンをどう思いますか?
多分今回のパチャで5回目の来日になるのかな。日本でのEDMシーンは急速に成長・拡大しているから、日本に来れることは、特別だよ。最初の頃は、クラブとかでドイツのアンダーグラウンドのDJとしてプレイしていたから、
今ではそのシーンがもっと多様化して、フェスティバルというリアルなシーンにまでムーヴメント化したことは、俺たちDJの立場からしても最高なことだよ。
特に、僕の場合はヨーロッパ出身で、このヨーロッパに長年あったダンスカルチャーが、今ではアメリカにまで発展し、今では日本にも上陸し、このいわゆる「レイヴカルチャー」を幾度とも思い出すかのように、毎回楽しめている。

日本に来日する際は、フリータイムはある?どのようにして、そのオフを楽しむの?
僕のチームは小さなクルーだから、ほとんど食に時間をかけるよ!僕の大好きな食べ物はしゃぶしゃぶ。実はあまり魚が好きじゃないの。(笑)だから、寿司とかに関しては50/50の度合いでしか楽しめない。でも、僕のツアーマネージャーは、各国の料理のレストランを探すプロだから、定番のお店というよりかは、いつも彼のリサーチを頼りにして、いろいろな食べ物にチャレンジしているよ。
 


日本のミュージックシーンをどう思いますか?
とても健康的だと思う。だって、日本のミュージックシーンに携わる人々は、ダンスミュージックにとてもコミットしている。それは、アーティストとして一番嬉しいこと。このように、自分の曲の歌詞を口ずさんだり、ドレスアップしたり、それだけ表現を通して、献身的である姿ほど嬉しいことはないよ。しかも、そのパワーが今ではムーヴメントとなり、それは、音楽業界にとってもアーティストとしての僕にとっても最高なこと。

好きな日本人アーティストはいる?
正直にいうと、言えるほど知らないんだよね。でも、Yoji Biomehanika​とかは、ハードスタイルDJとしてオランダで大きかったし、あと日本が世界に誇るアーティストとなったSATOSHI TOMIIEとかは、日本人アーティストとして印象が強いね。



今回は、PACHA MUSIC FESTIVAL TOKYO 2016での再来日ですが、今までTomorrowlandからCoachellaまで様々なフェスティバルに足を運んでいますが、選ぶとしたら一番好きなフェスは?
難しすぎるよ。それは、自分の家族で1番好きな人とはと聞かれるように、一つだけを選ぶことは不可能。

では、1番印象に残っているフェスは?
思い出というものも、様々な理由で思い出となっていく。例えば、クラブの音箱のような小さな会場でのセットは、音楽に浸かり、純粋に音楽を楽しむ一人のファンを理由に最高かもしれない。あとは、逆に、自分が成し遂げた偉業である公演は思い出になるかもしれない。例えば、僕がキュレートした母国オランダでのGRANDショーとかね。でも、そうだね、Exit Festivalはお気に入りだよ。ヨーロッパの中での好きなフェスの一つだね。説明すると、ヨーロッパのコーチェラのようなもの。古い要塞を会場とし、グローバルな音楽から、ローカルやアンダーグラウンドなど、とにかく多様な雰囲気を持っているフェスだよ。

今年であなたのインターナショナルヒットPut Your Hands Up For Detroitが、10周年を迎えましたね。おめでとうございます!デトロイトは、あなたの音楽に影響を与えましたか?

視点によって変わるね。DJの視点からいえば、影響されているし、プロデューサーの視点からいえば、影響されていない。
まず、DJ目線で見ると、僕は、DJを始めたことは、Carl Cox、Jeff Millsと行ったデトロイトに限らないけど、いわゆるテクノシーンのDJたちに釘付けだった。もう彼らのセットは、4デッキやドラムマシンを操る場面を何時間でも観察できたし、観察するだけで、ものすごく勉強にもなった。そして、テクノは今の僕にもまだインスピレーションを与えてくれている。だから、大型のフェスでもいわゆるメインステージは、僕がすでに活躍している場であり、わかっていることだから、テクノステージなどのサブステージを観察することで、アイデアや要素のインスピレーションの源となる。でも、それは、純粋に音楽的視点からの考えだね。だって、プロデュースとなると、2つは全く別のことだから。テクノのようにビートがメインとなる音楽は、プログラミングなどの角度では楽しめるし、プレイするには最適だけど、プロデュースとなるとそこまで興味深くないんだよね。だって、メロディーとかあまりなくてループベースだから。

今回のアルバムSomething Realは、2009年のOuput以来のスタジオアルバムとなりましたが、興味深いスタジオエピソードはありますか?
Keplerたちだね。彼らのヴォーカルとデモは、一発OKだったの。これは、本当に稀なことで、通常は、ヴォーカルは何回も調整を重ねてようやくOKが出るんだけど、この4人グループのKeplerのヴォーカルは一度目でバッチリだったの。しかも、実際に会ったことがなくて。その後会ったけど、すごく良い奴らで才能も感じるよ。

今回のアルバムのタイトルであるSomething Realに秘められた意味とは?
まず、根本的なところからいえば、アルバムの1曲目であるGive It To Meの歌詞の一部から引用した事かな。でもそれ以外に、アルバムは僕に取って特別な存在。だって、イントロビートやアウタービートの特定の長さなど、多くのルールや決まりを決めずに、自由なこだわりを持って出来るから。例えば、この楽曲は、こういったグループの人々に合わせなきゃいけないとか、ダンスフロアに合う曲じゃなきゃダメとかがない。そういったしきたりがないからこそ、純粋に音楽的な視点で作り上げることができる。
そういった限定的な範囲というバリアを超えることで、自然に自分らしい音が出る。まさに、真の何か(Something Real)だよね。

このアルバムは、どのような過程で作成されたの?
本当に長い時間をかけて徐々に出来上がってきた。僕の場合は、一年を通してずっと音楽を制作しているから、それにヴォーカルを加えたりと一つ一つ特別なものになっていく。例えば、IrineとのImmortalは100BPMだけど、スピードアップしたら、その良さは失われる。だから、普通のリリースに最適ではなかった。だって、普通の一般的なリリースは、Beatportでのリリースからのダウンロードという一環の流れができているから。だから、そういったBeatportのリリースに、はまらない特別な曲たちをずっと貯めてきた。そして、最後は、それを並べ、今という時を反映するものを選び抜き、最終調整に入って完成する。本当に長いプロセスで完成を迎えるよ。
 


今回のアルバムの中でも、特にCinematicは、Ultra Japanの初アフタームービーにもしようされ、今回の日本限定アルバムのリードトラックにも選ばれています、それについてどう思いますか?
Cinematicは、Dannyのヴォーカルが本当に最高。彼は、いわゆるギターでの定番のデモスタイルを持っていて、彼のヴォーカルには、すぐにハマったよ。何か彼のヴォーカルには、アップビートでハッピーになれる力を持っている。そして、プロデューサーとしての僕の仕事こそ、すでにあるものを更に引き立たせること。この楽曲は、一般的な構成をとっているけど何か特別なんだよね。
だって、今でも覚えているけれど、Ultraのセットで初めてかけた時、観客は知らないはずなのに歌詞を口ずさもうとしていた。それだけの力を持つ特別な曲だね。

Dannyとは、どのようにコンタクトを?
この場合は、僕が長年お世話に成っているレコード会社の重鎮。彼は、もう100歳かな?長年、音楽業界にいる人だよ。もう高年齢だけど、未だに世界中を飛び回っているから、なぜかみんな彼のことを知っている。それでDannyが僕に5曲ほどデモ送ってくれたんだけど、Cinematicが一番に耳に入ったね。

あなたは、若手の新しいタレントを育成し、サポートする活動でも知られている。そのような新人タレントはどのように発掘するの?
それこそ今の時代の素晴らしいことだと思う。だって今は、僕が発掘しなくても、その人々が僕をインターネットを通して探してくれるから、僕は、その音に気づけばいいだけ。本当は、一人一人に返信をしたいんだけど、残念ながら僕のツアーなどのスケジュールだと不可能。1日に500以上のpromoが送られてくるから、できるだけスピードを重視して聞いている。曲は、数秒聞くだけで展開が読めるからね。でも、このpromoを一つでも多く見るプロセスは、絶対に怠らない。それは、僕のもっとー。実は、
この方法で、僕はNicky Romero、Dennis Call、Jewels & Sparksなどを発掘したんだよ。
でも、時には発掘するまで時間がかかることもある。Jewels & Sparksの場合は、僕の過密なツアースケジュールのため、彼らのpromoは僕のDropboxに半年ほど眠っていて。でも、今では彼らも活躍しているしね。

ちなみに、Nicky Romeroがあなたに送ったPromoとは?
確かGroove ArmadaのMy Friends(Nicky Romero Remix)だったよ。そのあと、彼がオランダ出身であることを知って、しかも、出身地まで一緒で、今では友達だよ!

それだけ多くのPromoの中で引き立つものの特徴とは?
一番は、その人らしいサウンドが確立されていること。でも基本的には、僕の場合、2通りでまず区分けする。一つは、Emailの文字を見て、Demoやまだレーベル契約されていないものと、すでにレーベル契約済みの2つのカテゴリーに分ける。だって、レーベル契約済みの物は、僕のライブやラジオに活用したいか考えるプロセスであり、ミックスの質を感じなかったり、僕のセットスタイルに一致しなかったら、すぎにスキップする、割と早いプロセスなんだよね。一方のDemoはもっと時間をかけて綿密に整理していく必要がある。一番大変なのは、リンクを押しても全然聴けない時。そう特に島とかはWiFiが最悪だからね。(笑)ツアー中だと常に万全なインターネット環境に居ないから。

Merk & Kremontは、タイトルトラックで共演していますね。彼らとの出会いとは?
彼らとはもう長い付き合いだよ。実は、出会いはカナダ。共通の友人であるSultan & Net Shepardの紹介で知ったんだよ。彼らは、今ではLAに住んでいるけど、その時はカナダ・モントリオールを拠点にしていたからね。そこから、彼らには注目していて、ずっとコラボしたかったけどなかなか機会がなくて。で、ある時、彼らがあるアイデアを送ってきて、そこから僕が気に入った要素を残しながらの修正版を送って、このように、Dropboxを通じて、調整を行き来し、完成したよ。このように、コラボレーションは時には、インターネットのおかげで実際に会わなくても完成する時あるよ。

今回のアルバムは、多くのヴォーカリストとコラボしていますね。それはなぜ?
今回のアルバムは、一つのサンプルベースの曲を除いて、すべてヴォーカル付きのもにしたかった。
僕にとってアルバムは、聞く価値 (Listening Value) が高いもであるから。
だから、アルバムは、例えばドライブのとき、部屋を掃除する時など聞く価値に趣を置き、あまり機能性を重視する必要はないと思う。だって、機能的なものは、人々が即座にハマる必要があるから、ヴォーカル曲では難しい。だって、ヴォーカル曲は、何回も聞かないと、全体をつかめないから。でも、アルバムはダンスフロア以外の場面で楽しむべきものだと思う。だから、ヴォーカルのパワーは、その聞く価値という部分で大きな働きかけをしていると思っている。

もし、ある人にSomething Realを進めるとしたら、どの1曲をおすすめする?
2つになっちゃうけど、Give Me SomeとCinematicだね。この2曲は、個人的にお気に入りの曲だし、二つともファンキーソウルのようなヴァイブだけど、何か違う部分もあるから。
 


今回のPACHAのセットはどのようなものに?
もちろんアルバムの収録曲をすべてかけないよ。確か収録曲の3曲は、すでに日本ではプレイしているから、それ以外の収録曲の反応が楽しみだね。
 


フェスなどのセットリストを組み立てる秘訣とは?
それこそ、ツアースケジュールがクラブとフェスを交差することの魅力とつながってくる。だって、クラブショーの方が、もっと実験的になれるから。実験的に新しい曲を観客の前にかけることは、本当に勇気が必要。実際に、無反応すぎた経験もしたから。そういう時は、変えなきゃいけないし。でも何年もこのシーンにいると、感覚をつかむようになって、ダンスフロアに合うものがわかるようになる。だから、曲の選曲は、自分を助けるものではなく、自分を規定していくべきものとなった方がいい。

Fedde Le Grand、iFLYERとのインタビューにご協力いただき、ありがとうございます!
PACHAでも聞いた人も多い彼のアルバム『Something Real』は、ソニー・ミュージックよりリリースされます!詳細は以下のアルバムから!