オランダ・ロッテルダムを拠点とする、ダンスミュージック、ジャズ、エレクトロニックミュージック等の音楽配給会社 Clone Distribution(クローン・ディストリビューション)は、ウクライナ戦争に対するロシア出身のテクノ DJ/Producer の Nina Kraviz(ニーナ・クラビッツ)の親プーチン的な姿勢に反発し、数年間に及び協力関係にあった Nina Kraviz が主宰するモスクワのレーベル Trip Recordings(トリップ・レコーディングス)との契約を終了した。

Clone Distribution の創設者である Serge は「Clone Distribution と Trip Recordings の関係の終了は秘密裏なものではない」と述べており、その理由について以下のように述べている。

過去には、クリミアの併合後も、Nina Kraviz はプーチン支持者と見做すことができるいくつかの発言をしてきている。更に、彼女は明らかに CCCP/USSR(どちらもソビエト社会主義共和国連邦のこと)の感情に何度か気を惹かれていたが、ソ連はマイノリティの抑圧を支持してきた政権であり、何百万人もの人々を殺害した政権であり、LGBTQ+コミュニティを軽視してきた! Nina の最新のコンピレーションアルバム『All His Decisions』には、ソ連に対するお世辞の兆候も数多く見られる。これは、現在のロシアの侵略に照らして、無視できない問題を提起している。

戦争が勃発して以降、SNS においてロシアのアーティストたちが通常非常に活発だったのに対し、Nina Kraviz の沈黙は音楽ファン、仲間のアーティスト、レーベル、その他音楽業界で広く疑問視されている。彼女はロシア語で「平和」という言葉をポストしたビデオを除き、何も立場を表明していない。Clone Distribution はこのアーティストの沈黙について非常に失望しており、ウクライナで起こっていることに対する彼女の態度が究極の引き金となっている。
 
Nina は、ロシア側、欧米側のどちらを選ぶことも拒否し、発言を控えていることで、彼女の同胞による略奪、レイプ、殺人、国の破壊を目の当たりにしながら、何事もなかったかのように自身のライフスタイルとアーティスト活動を続けることができる。
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我々はこの沈黙をご都合主義と無関心の兆候と見做しており、Clone Distribution が配給しないことを選択したテクノシーンにおける有害なな積極性と無知の兆候であると考えている。
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彼女にはその行動を正当化する個人的な理由があるかもしれないが、ビジネスパートナーとして、Clone Distribution がそれらの理由を都合良く受け入れないことも同様に自由である。

Clone Distribution は、ウクライナでの人道援助を支持する募金イベントを開催したり、Bandcamp での収益を寄付するなど、様々な支援イニシアチブを行ってきた。

>>Serge による Clone Distribution の声明全文はこちらから