​六本木に位置する、大人気ナイトクラブ SEL OCTAGON TOKYO。2024年度版の DJ MAG による世界のクラブランキング「DJ MAG TOP 100 CLUBS 2024」では40位に輝いた、日本のナイトクラブシーンを代表するベニューの一つである SEL OCTAGON TOKYO に、2024年10月4日より、”ハイブリッド・トランス” のパイオニアとして知られるイスラエル発の DJ/プロデューサー MR.BLACK がレジデントとして就任することが発表された!
 

MR.BLACK は、今年5月に開催された、SEL OCTAGON TOKYO のオープン5周年を記念するイベントシリーズ「OCTAGON 5th Anniversary」にも、アップリフティング、テックハウスシーンに名を馳せる DJ/プロデューサーの Giuseppe Ottaviani((ジュゼッペ・オッタビアーニ)と共に出演し、フロアを大いに盛り上げてくれたので、記憶に新しい方も多いことだろう。

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それに先駆け、去る2024年8月7日、9日に SEL OCTAGON TOKYO  に出演した際に、インタビュアーには日本が世界に誇るオープンフォーマット DJ の TJO 氏、そして元エイベックス・エンターテインメント社で主にクラブ、ダンス系の A&R  を担当してきた Nobby Uno 氏も参加してという超豪華メンバーで行われた。


日本のダンスミュージックシーンを牽引する二人だからこそ引き出せた、中身の濃いインタビュー内容となっているので、MR.BLACK ファンもダンスミュージックファンもぜひ熟読して欲しい。読み終わったら、MR.BLACK のレジデント公演に赴きたくなることは確実だ!
 

TJO:よろしくお願いします。それではまず、オクタゴンのレジデント就任おめでとうございますということで、今度スタートする新イベントについて教えてください。

MR.BLACK:本当にありがとう。初のレジデンシーだから、とても興奮しているよ。世界で一番好きな場所の一つである日本の東京でこれが実現したことが嬉しいよ。10月4日からスタートするこのパーティー・シリーズは「TRIP 2 FANTASY」と呼ばれるもので、その中の「TOKYO BY NIGHT EDITION」というものになる。

TJO:具体的には、レジデントはどれぐらいの期間担当されるのでしょうか?

MR.BLACK:10月4日からスタートして、年間で合計8度、16回プレイする予定だね。


TJO:「TRIP 2 FANTASY」とは、具体的にどのようなパーティーになる予定なのでしょうか?

MR.BLACK:僕らは、なんと言うか、ユニークなハイテンポの BPM ミュージックを作ろうとしているんだ。黒とオレンジのチームは、バルーンと パフォーマーのエネルギーで魔法の夜を演出し、OCTAGON を魔法のワンダーランドに変えようと思っている。これは本当に新しいもので、僕らはチーム全員が一生懸命取り組んでおり、最高のものを作ろうとしているんだ。全てはまだ制作進行中で、観客にとって最高の体験とはどのようなものか、という点を踏まえて、一生懸命取り組んでいるよ。


TJO:日本にはこれまでに何度も来られていますが、日本に対してのイメージや、今後のレジデンシーで来日する際に楽しみにしていることを教えてください。

MR.BLACK:僕のことを知らない人々も、年配の人たちは楽しくて礼儀正しくエレルギーに溢れており、景色は美しく、皆とても親切でとても礼儀正しく、食べ物は最高だ。僕はこの文化が本当に大好きなんだ。どこに遊びに行ったら良いかと聞かれる度に、僕はいつも「日本」と答えている。ここは僕のお気に入りの国の一つなんだ。


TJO:世界のクラブシーンの流れについてお伺いします。今、個人的に注目しているアーティストや最近、これはやられたと衝撃を受けた曲はありますか。

MR. BLACK:それは難しい質問だね。なぜなら、音楽は非常に大きなムーブメントだからだ。例えば、音楽について考えるとき、食べ物と比較すると、はるかに簡単だ。寿司を食べるのは素晴らしいこともあるが、例えばサイトランスの音楽は、時にはただ速く、速く、いつでも良い音を聴きたいだけなんだ。
今、グローバルな視点で見ると、ハウス、アフロハウス、Afterlifeの ANIMA のような音楽、そして David Guetta の例がある。彼らは常に先駆者であり、常に何か新たなものをもたらしている。僕は、これが今、そして実際ずっと僕のお気に入りのアーティストなのだと思うよ。なぜなら、彼らは常に何か新鮮なものをもたらし、同じことを55回繰り返しても、まだ始まったばかりのように感じられるからね。これは大きなインスピレーションなんだ。
お気に入りの曲については、特にないね。とてもたくさんあり過ぎて、1つを選ぶのは難しいよ!

TJO:最近はレイヴ回帰の流れがあり、BPM が速くなってきている傾向がありますが、それについてどう思っていますか?

MR. BLACK:本当に素晴らしいと思う。これが僕の趣味だからね。ヨーロッパと、特にアジアの人たちが本当にそれが好きなのを目の当たりにして、とても嬉しかったし、素晴らしいと思うよ。
David Guetta についてさっき触れたけど、僕は Tomorrowlannd のクロージング・セットでサイトランスを演奏する機会を得たんだ。David Guetta のようなビッグネームがこの(サイトランスの)テンポを使っていて、Tiesto が(BPM)150で演奏するのは間違いなく楽しいよ。たくさんのエネルギーをもたらしてくれる。
つまり、一つの傾向としては、フェスティバルやクラブ等、激しくパーティーをするシーンでは、高いエネルギーを感じて幸せになる。だからそれにテンポが合う必要があった。一方、よりアンダーグラウンドなディープ・ミュージックでは、このエネルギーはゆっくりしたテンポに合うんだ。

TJO:ノビーさんは、世界のクラブシーンの変化について、個人的にはどこがおもしろいと思っていますか?



Nobby Uno:古いものが新しくなるサイクルがあることが面白いですね。一例を挙げると、イギリスの音楽シーンが熱くなってきているのは面白い。15年前の曲がイビザで流行ったり、時代が回っている。ドイツの ※1 Marlon Hoffstadt(マーロン・ホフシュタット)は、今年の ※2 Ushuaïa Ibiza に呼ばれている。ゲイカルチャーの盛り上がりや、ドイツを代表するナイトクラブの一つ、BOOTSHAUS がパンパンになったり、色んな音楽が元気なっています。

※1 Marlon Hoffstadt…90年代のレイヴ~ユーロ・トランスを現代風にアップデートした作風で人気を集めるドイツ出身のDJ/プロデューサー。
※2 Ushuaïa Ibiza…パーティーアイランドと呼ばれるスペイン・イビサ島を代表するナイトクラブの一つ。

Nobby Uno:音楽は循環していると僕はいつも思っています。15年前のイギリスの音楽シーンが復活していますよね。子どもの頃聴いていた音楽がまた戻ってきたような感じがしますが、世界の音楽やトレンドについて、MR.BLACK はどう考えていますか? 

MR.BLACK:それはファッションのようなものだね。10年のサイクルで戻ってくる。音楽も、皆が同じメロディーを使っていて、90年代のレイヴを取り入れるのがとてもクールで、ハウス・ミュージックから古いスコアを取り入れて新たなビートを作り、循環しているのが分かるよ。
今現在、3つのジャンルが台頭していると思う。1つは “ハウス”、2つ目は “メロディック・テクノ”、そして “レイヴ・ミュージック” だ。僕はこれを、サイトランスとは呼ばないし、EDM とも呼ばない。レイヴ・ミュージックと呼んでいるんだ。一部の人はテクノと呼んでいるよね。これらが主な3つのトレンドだね。
Nobby が言うところの “サイクル” というもので、これらの3つの古いメロディーや全てからインスピレーションを得て、新たな命が作り出されるんだ。


TJO:あなたはどのような音楽を聴いて育ってきたのですか?

MR.BLACK:Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)や Simon Crawford(サイモン・クロフォード)、Infected Mushrooms(インフェクテッド・マッシュルームズ)等、本当にたくさん聴いて育ってきた。当時から今現在に至るまで、音楽を聴く度に心の中に魔法が宿る。僕は、古い音楽やボーカルも自身の仕事に取り入れることができる。今でも真新しいもののようにすることができるよ。David Guetta、Like Mike、Tiesto のようにね。分かるだろう?

TJO:楽曲制作のインスピレーションはどこから湧いてきますか?

MR.BLACK:それは人生から生まれるんだ。鳥が飛んでいるのが見える、レストランに行くようなヴィジョンがある。友だちと話したり、素敵な文書を書いたりすると、コンセプトが見えたり、ピアノとスタジオで演奏してメロディーを作ったりできる。
特に、僕の最大のインスピレーションの源は、映画を観ることだ。僕は、ストーリーを観るために映画を観るのが好きなんだ。監督を見て、どのようにストーリーを構築したかを見て、その世界を取り入れて音楽のストーリーを作る。映画と同じように、暗いこともある。また、どの映画にもコンセプトと色、特徴があるよね。僕も同じように音楽を作るんだ。


TJO:好きな映画は?

MR.BLACK:「Kill BILL」だね。僕のお気に入りの一つだ。これはサイトランスだ。でも、 これは「BLACK AND WHITE」という、僕の他のプロジェクトだね。そこで「KILL BILL」を使った。そして、僕も有名になったんだ。

Nobby Uno:DJ になる前は何をしていらしたんですか?

MR. BLACK:何もしてないよ。人を楽しませるようなものを作ろうとしていた。僕自身(の過去)を思い出すと、DJ を始めて音楽を作って以来、何か他のことに取り組む機会はなかったよ。

TJO:最後の質問です。MR. BLACK として今後のリリースや今後の予定は?

MR. BLACK:今はいくつかのコラボレーションに取り組んでいるよ。そのうちの一つは、Steve Aoki とのコラボレーションだ。彼は、Tomorrowland のメインステージで共にプレイしたばかりで、彼らはトラックをリリースしたばかりでもある。
僕は IP にも取り組んでいる。今、名前が決まったんだ。「TRIP 2 FANTASY」と呼んでいるものだ。
また、SONIC の曲も手掛けていて、曲名は「Sky」だ。僕はワーナー・チャーターと同じレーベルと契約しているから、修正しようとしていて、制作の準備はできている。また、ダンサーも制作しているよ。他にも大きなコラボレーションがいくつか控えているけれど、今はまだ発表できない。でも、作業は進んでいるよ。



Nobby Uno:「TRIP 2 FANTASY」は、コンセプトを作る上でベニューがイメージできていると思いますが、今回 OCTAGON TOKYO に対して、どのようにこのコンセプトを合わせるのでしょうか?

MR. BLACK:OCTAGON TOKYO はレーザーや未来的なライトがたくさんあって、音も抜群に良い、本当に素晴らしいクラブだ。
僕が作ろうとしているのは、もっとたくさんのものを作ることだ。なぜなら、世界を旅すると、本当にたくさんの種類のイベントを見ることができる。OCTAGON TOKYO もその一つだ。でも、音楽は非常に違うので、僕らはもっと何かが必要だよね。
また、レジデンシーのためにデザインやその他諸々も必要だ。2ヶ月ごとに人々を興奮させたいんだ。だから、人々に(素敵な)経験を与えられるようなものが必要だ。僕らにとっても、何か新しいことをやろうとするのは、とても興奮することだ。だから、それを正しく行う方法をチームに手伝ってもらうつもりだ。色のヴィジョンは、僕らが知っている不思議なんだ。

それは韓国での夕食から始まったんだ。僕らはそれについて話し始めた。帰宅後に、僕のチームを作り、カラーや僕らが好きなものに向かって進んだ。
僕らはエネルギーが爆発しているので、それを使うことにしたんだ。黒とオレンジの色をね。未来的で、誰も知らないことや、フェスティバルのシーン、クラブ、ダンサー、風船、ドラマーなど。まだ全てが決まっていないので、あれこれ考えているよ。まだ決定はしていないけれど、大きなヴィジョンなのでワクワクしているよ。世界中で大々的に PR するつもりだ。また、僕の友人や仲間も、日本で何が起こっているのかを見て、僕らがメディアでやっていることを紹介したいと思っている。ヨーロッパやアジアからこのイベントのために東京に来て欲しいと思っているよ。数多くの人がワクワクして喜んでくれている。僕を応援して信じてくれている MAX(AVEX会長の松浦 勝人氏)や SEL OCTAGON TOKYO のスタッフにも感謝している。もちろん、日本の人々からの愛も感じているし、この機会に本当に感謝しているよ。ベストを尽くすつもりだ。


 

TRIP 2 FANTASY 〜TOKYO BY NIGHT EDITION〜

日時:2024年10月4日(金)22:00〜04:30
会場:SEL OCTAGON TOKYO 東京都港区六本木7丁目8−6, Axall Roppongi, B1F
料金:TBA
出演:MR.BLACK、他