Business Insider のレポートによると、Marshmello(マシュメロ)、Steve Aoki(スティーヴ・アオキ)、Lil Wayne(リル・ウェイン)、Chris Brown(クリス・ブラウン)、Alice in Chains(アリス・イン・チェインズ)のメンバー等の有名アーティストたちが、政府による支援金である「コロナ救済基金」から数百万ドルを受け取り、そのうちのかなりの額を個人的な贅沢のために費やしていたことが、衝撃的な暴露で明らかとなった。
"Shuttered Venue Operators Grant(SVOG/閉鎖された会場運営者助成金)" プログラムの一部であるこれらの基金は、パンデミック中に苦境に立たされた会場やアーティストを支援することを目的としたもので、2020年にトランプ大統領が署名し、チャック・シューマー上院議員を含む議員らが推進した同プログラムは、パンデミック中に苦境に立たされた独立系会場や芸術団体の命綱として設立された。

しかし、上記のアーティストたちはこの基金を正しい用途に使用しなかったのみならず、ただ自分たちが贅沢するために費やしてしまったと報告されており、プログラムの監視に対する懸念が高まっている。


Marshmellol こと本名 Christopher Comstock 氏は、ツアー会社が政府から受け取った990万ドル(約15億5,775万円)の助成金を全額自分の懐に入れてしまったと報じられている。
他のアーティストたちは、スタッフや制作費に幾らかを充てていたとのことだが、Marshmello は2019年のツアーで得た多額の収益により、自身への支払いを正当化することができたとのことだ。Marshmello の代理人は、この疑惑に対して沈黙を貫いているとのことだ。


Chris Brown の会社である CBE Tourning は、1000万ドル(約15億7,319万円)の助成金を授与され、その半分である500万ドル(約7億8,685万円)は Chris Brown 本人に直接授与された。文書によると、資金のうち8万ドル(約1,259万円)は、LED ダンスフロア、水煙草、ボディペイントしたモデル、更に「ナイトロジーニー(窒素で作るアイスクリーム)」を備えた豪華な自身の33歳のバースデーパーティーを開催するために使用された。Chris Brown はまた、ツアーバスでメキシコに遠征するために2万4,000ドル(約377万円)を費やしたと報じられており、そこで1ヶ月間ミュージックビデオを撮影したが、公演は行われなかったとのことだ。


ラッパーの Lil Wayne  は、助成金として890万ドル(約14億54万円)を支給されたが、プライベートジェットに130万ドル(約2億456万円)、ハイブランドの服やアクセサリーに46万ドル(約7,238万円)、そして最終的にキャンセルとなった大晦日のイベントでのパフォーマンスに8万8,000ドル(約1,385万円)を費やした。しかし同イベントのスタッフが「風と飛行機の都合で」Lil Wayne が演奏できないと発表したが、当時 Lil Wayne が飛行予定だったルートを他の4機のプライベートジェットが飛行しており、パフォーマンスをキャンセルした当の Lil Wayne は、その日ラッパーの  2 Chainz(2チェインズ)と共に米カリフォルニア州ロサンゼルスに位置するサンセット大通りのクラブでパーティーをしたことが示唆されている。
更に、資金の一部は、彼のツアー活動とは明らかに関係ないポルノ女優やフーターズ等のレストランのウェイトレスといった女性たちのフライト代や高級ホテル宿泊費にも使用されていたと報もじられている。


Steve Aoki の会社である DJ Kid Millionaire Touring 社は、"人件費" として申請し支給された240万ドル(約3億7,763万円)のうち、190万ドル(約2億9,896万万円)を同社唯一の役員である自身に "役員報酬" という名目で支払ったと報じられている。

更に Alice in Chains のメンバーは、410万ドル(約6億4,518万円)の助成金のかなりの部分を個人的な支払いに割り当て、フロントマンの Jerry Cantrell(ジェリー・カントレル)が140万ドル(2億2,047万円)を受け取り、残りを他のメンバーが分け合った。その一方で、スタッフとツアークルーはほとんど金銭的支援を受けていなかったと報じられている。更に、同バンドは助成金を健康保険などの福利厚生に使っていなかった。
長年バンドと仕事をしてきたバンドのギター技術者/カメラマンの Scott Dachroeden 氏が2022年後半にがんと診断された際、バンドのフロントマンの Jerry Cantrell はこの件に関し、「Alice in Chains が舞台裏で手助けしていた」と Facebook で述べたが、事情を知る人物は、 Scott Dachroeden 氏はパンデミックの間バンドからほとんど賃金を受け取っていなかったと述べている。同バンドは Scott Dachroeden 氏に助成金を渡さず、医療費を援助する慈善団体を紹介した。Scott Dachroeden 氏ががん治療の資金を募るべく行ったクラウドファンディングのページにはバンドが彼の健康保険を加入していなかったこと、彼はもう働いて家賃を払うこともできないことが示唆される文章が掲載されていた。Scott Dachroeden 氏はその後間もなく死去したが、バンドの広報担当者とマネージャーはコメントに応じていない。


この暴露は、パンデミック中に本当に経済的な苦境に立たされていたアーティストたちや会場からの大きな怒りを招いた。
ゲイリー・ピーターズ上院議員はこれを「連邦資源の乱用」と呼び、SVOG プログラムの抜け穴を強調。補助金を監督していた中小企業は、収入の減収のみを調査し、受給者の個人資産は調査しなかったため、不正使用の可能性が大いに残されていると述べた。

多くの人々にとってこれらの報告書は、苦境に立たされたセクター向けの救済ブログラムが富裕層やコネのある人々によて悪用されたという憂慮すべき事態を明らかとしており、今後はより厳格な監視を求める声が高まっている。