現地時間2026年2月9日に開催された、アメリカ最高峰のプロアメリカンフットボールリーグ NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のリーグ優勝決定戦「第60回 NFL スーパーボウル (Super Bowl LX) 」の前半戦と後半戦の合間に開催される音楽ショー「halftime show(ハーフタイムショー)」には、南米プエルトリコ出身の世界的シンガー/ラッパー/俳優の Bad Bunny(バッド・バニー)が、彼のフルネーム Benito Antonio Martínez Ocasio の「OCASIO」と、背番号64が記載されたオフホワイトのフットボールジャージを身にまとい登場した。


同ステージには Lady Gaga(レディー・ガガ)が登場し Bruno Mars(ブルーノ・マーズ)とのヒット曲「Die With a Smile」のサルサ風バージョンを披露。
 
現代ラテン・ポップのパイオニアである Ricky Martin(リッキー・マーティン)も登場し、Bad Bunny の「Lo Que le Pasó a Hawaii」を披露。
 
Bad Bunny の故郷であるプエルトリコのサトウキビ畑、ネイルショップや街角のドリンクスタンドなど、南米の街を再現したような演出やステージ上での結婚式などが繰り広げられる中で、Bad Bunny が最新アルバム『Debí Tirar Más Fotos』と過去のヒット曲を融合させ、レゲトンやラテン・トラップ等の幅広いジャンルを横断し、サルサのブラスバンド、ラテン・パーカッションのバンドを起用し、約13分に渡って会場を盛り上げた。
 
他にも『Debí Tirar Más Fotos』収録のプエルトリコの頻繁な停電を歌った「El Apagón」に合わせて電柱上で作業員が作業するシーンや、自身のグラミー賞年間最優秀アルバム賞にまつわるシーン、プエルトリコ建築にまつわる質素な家を再現したピンクと黄色のポーチのセット「La Casita」にて、セットリストの一部を演奏するなどした。
 
Bad Bunny は英語で「God bless America(神よ、アメリカに祝福を)」と言った後、アメリカ大陸の国々の名前を挙げて行き、国旗パレードを先導。最後にスペイン語で「seguimos aqui!(我々はまだここにいる)」と叫び「Together, We Are America(我々がアメリカだ。共にあろう)」と英語で刻まれたフットボールを投げ、ショーを終了。北米、中南米、ハワイ、カリブ海諸国等、人種を超えて広がる “アメリカ” の団結を訴える、リベラルなショーとなった。

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それに対抗するかのように、スーパーボウルのハーフタイムショーと並行して開催されたのが、アメリカのロックアーティスト、Kid Rock(キッド・ロック)をフィーチャーした、Turning Point USA が主催する「All-American Halftime Show(オール・アメリカン・ハーフタイム・ショー)」だ。同イベントは YouTube チャンネルにて配信され、610万人の同時視聴者を集めた。Turning Point USA とは、アメリカの高校、大学のキャンパスで保守的な政治を擁護する非営利団体だ。

その数字だけ見るとかなりの人数のように思えるが、実際には NFL のスーパーボウル ハーフタイムショーの平均観客動員数である約1億2,700万人という数字や、昨年 Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)がハーフタイムショーで樹立した1億3,350万人という記録と比較すると、足元にも及ばない数字である。

それにおかんむりだったのが、保守派の代表であるドナルド・トランプ大統領だ。Bad Bunny は昨年、スーパーボウル・ハーフタイムショーの出演者として発表されて以来、トランプ大統領を筆頭とする保守派の激しい反発に直面していた。

ドナルド・トランプ大統領は​同ハーフタイム・ショーについて、自身の設立した SNS である Truth Social 上に、ハーフタイムショー終了後に以下のようにコメントして非難している。これは「All-American Halftime Show」の視聴率がスーパーボウル・ハーフタイムショーに比較して伸び悩んでしまったことへの苛立ちも大いに込められているものと見られている。

スーパーボウルのハーフタイムショーは本当に酷い。史上最悪だ!全く意味不明でアメリカの偉大さを侮辱するものであり、我々の成功や創造性、卓越性の基準を体現していない。

「All-American Halftime Show」は、2025年9月に銃撃事件で命を落とした、アメリカの保守派政治活動家で MAGA の代表格で、ドナルド・トランプ大統領の盟友であり、Turning Point USA の共同設立者としても知られるチャーリー・カーク氏を支持する広報担当者の「これは君のためのものだ、チャーリー」というメッセージでスタート。
コンサートの開始前には、ピート・ヘグゼス米国防長官がビデオ出演し、以下のようなコメントをした。

陸軍省を代表して、Turning Point USA と、自由のために戦う価値があると信じるすべての人々に敬意を表する。
組織としての勇気、明確なビジョン、そしてリーダーシップに感謝する。そして、陸軍省が誇りを持って支援するこのハーフタイムショーにも感謝する。

養子縁組推進の広告が放映されたが、コンサート内では政治的なメッセージはほとんど含まれていなかった。
同イベントにはカントリー歌手の Brantley Gilbert(ブラントリー・ギルバート)、Lee Brice(リー・ブライス)、Gabby Barrett(ギャビー・バレット)らも出演した。