"クィーンはたったひとりだけ、それはマドンナ" ニッキー・ミナージュ
『MDNA』収録曲、たくましい讃歌、「アイ・ドント・ギヴ・ア」を締めくくるニッキーの感動的な宣言はまさにずばりそのもの。的確に表現している。30年近くにも及ぶ音楽活動を経た今でも、マドンナに匹敵するほどインパクトの強いアーティストは誰もいない。ライバルを寄せ付けず、彼女の常に斬新で新しい試みは、ずっと現在も世界のポピュラー音楽のサウンド基準になっている。彼女の仕事に注ぐ熱意は、世界中での莫大なセールスの形ではっきり表れている。もちろん、記録破りのツアーがクリエイティヴィティーの水準をあげているは言うまでもない。
『MDNA』は、強烈なリズムの炸裂、エネルギーがみなぎる曲で 新たな境地を開くいっぽうで、彼女の特有のクラシックな構成の魅力的なポップ・メロディーも健在。2月3日、世界で一斉に開始されたiTunes 限定アルバム予約注文にて、世界50ヵ国のiTunes Storeトップアルバム1位を記録、1日間でのアルバム先行予約の数字はなんとiTunes史上最多を記録!
明らかに、クィーンはただ一人、それはマドンナだ。
『MDNA』のオープニングはイタリアのクラブ寵児、ベニー・ベナッシ(Benny Benassi)とのみごとなコラボレーション曲、「ガール・ゴーン・ワイルド。」強烈なビーツとキーボードが激しくぶつかり合い、ぶち切れる寸前の「檻の中の動物」の緊張感を漂わせ、アルバムの幕開けを告げる。お次は、『Ray of Light』で一緒に仕事をしたウィリアム・オービット(William Orbit)とのコラボ、「ギャング・バング」 でリスナーを心臓の高鳴るアブナイ暴走の世界へと誘う。ベースのきいた、叩き付けるようなビートが不吉な前ぶれをにおわせる。明らかに、マドンナとオービットがこれまで開拓されていない音楽の領域へとわたしたちを導いてゆく。彼女のヴォーカルには容赦ない禁じられた怒りがみなぎり、暴力的な熱狂へとエスカレート……。もうこれ以上はムリ…….というところまでくるのだが、それでもその先をゆくマドンナ。今までの中でマドンナが最も原始的で、動物をむき出しにした作品。
マドンナとオービットの相性はぴったり。『MDNA』でのコラボ曲でもすでに実証済み。 「サム・ガールズ」ではまるで男のようにファンキーにふんぞりかえったかと思うと、「アイム・ア・シナー」 ではふたりでギターをがなりたて、ポップなパーカッションでレトロ感を飛び散らす。マドンナがこれまでにクリエイトした最も繊細な曲もオービットとの共作と言えると思う。たとえば、代表的なのが、美しいロマンス、「フォーリング・フリー」 。そして、やさしさと衝撃のまざりあった「マスターピース」 があげられる。ご存知のように、これは2012年、彼女の監督デビュー映画『W.E.(原題)』の挿入歌で、主題歌賞をゴールデン・グローブにて受賞した。
『 MDNA』の哀愁を帯びたオービットとのコラボとは対照的に、ベナッシとの作品は喜びに満ちあふれている。ダンスフロア向けのトラック、長年、彼女の純粋ポップを愛好してきた努力がみごとに花開いた。「アイム・アディクティッド」で、彼は彼女の鼻っぱしが強くてお茶目な側面をうまく引き出している。力強いベースラインや細部までこだわった耳に残るコーラスの繰り返しはまさにビッグ・ヒットの兆し。
さまざまなコラボレーションが散りばめられた作品の中で、フランス人DJでプロデューサーのマーティン・ソルヴェイグ(Martin Solveig)と時を刻んだ成果が実は意外なおどろき。ふたりの映画やアートといったビジュアルの好みがよく似ていることはその歌詞にはっきり表れていて、それが彼等のスウィートな音楽のトーンと、美しいコントラストを成している。「ターン・アップ・ザ・ラジオ」はチャーミングでクウォリティーの高い作品。それにたいして、トップ10ヒット、「ギヴ・ミー・オール・ユア・ラヴィン」 は最初のイントロ数小節でまばゆい太陽のイメージを彷彿とさせるセクシーでサーフ・ロック風のヴァイブがただよっている。
マドンナとソルヴェイグのトラックで最もパワフルなのは過去を振り返った「アイ・ドント・ギヴ・ア」かもしれない。残酷なまでに繊細な叙情詩で彼女は避けられなかった破局を振り返る。「私はグッド・ガールになろうとしたわ。あなたの妻になろうとしたの。控えめになって。」とても美しくデリケートな瞬間・・・。やがてたくましい自信に満ちたクライマックスへと展開していく。
『 MDNA』は、マドンナが紛れもなく、世界で最も創造性に富んだ音楽アーティストであり続けていることの明らかな証明だといえる。大胆な新しいアイディアを大勢に取り入れたいという彼女の願いは比類をみない。それは、これまでの
伝統的なステージ・パフォーマンスの境界線を踏み越えた、彼女の世界コンサート・ツアーが如実に物語っている。
マドンナは単純で純粋なポップ・ミュージックよく理解し、尊重している。彼女同様、他の人たちも賢いし、真実とアートに対してハングリーなことを断固として信じて疑わない。それが、マドンナがこの先もずっとさらにクリエイティヴな音楽を作り続けてゆく原動力なのだ。
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