2015年、最もR&B/SOULファンを沸かせ、また、そのジャンルを超えて大きな話題となったディアンジェロ。昨年は14年ぶりとなったニュー・アルバム『ブラック・メサイア』の発売に続き、サマーソニック2015への出演及びZEPP東京単独ライヴを敢行、デビュー以来20年目にして初となる来日公演を行い、デビューから現在に至るまでのその長い年月の間に生まれたファンとの距離を、その凄まじいまでのパフォーマンスで瞬時にして埋めてしまった、まるで奇跡のような初来日公演から約半年後に、再びディアンジェロを観ることができるなどと、いったい誰が予想できたであろう?しかも今度はグラミー賞<最優秀R&B楽曲><最優秀R&Bアルバム>という2冠をひっさげて。
今回の来日公演は前回行われたZEPP東京公演と比べると、収容観客数5,000人とかなり大きな会場であるパシフィコ横浜にて行われたが、そんな会場の広さを微塵も感じさせないパワフルさとダイナミズム、そしてファンとディアンジェロの相思相愛な関係から生まれる親密さに満ちた公演となった。
<ライヴレポート>
ディアンジェロ&ザ・ヴァンガードの再降臨がこんなにも早く実現するとは、うれしい誤算だ。大復活アルバム『ブラック・メサイア』を引っさげての初来日公演からわずか7ヵ月強という短いスパンでの再来日。普通だったらさすがに動員が心配されるところだが、なにせ前回はプレミアチケット化している。当然のように今回も前売りは早々にソールドアウト。昨夏に泣く泣く見送ったファンはもちろん、彼のライヴに味をしめてまたもや参戦という口も多いのではないだろうか。筆者自身もまた、あの興奮を再びという思いと、前回プレイしなかった曲をきっとやってくれるはず、という思い込みに近い期待を胸に抱いて初日の横浜に赴いた。
まだ大阪公演を残しているのですべてを詳らかにすることは控えたいが、ざっくり言うと、横浜公演の前半3曲の演目は前東京公演とは別のものへとめでたく変更された。割れるような歓声の中でスタートした冒頭曲は、彼のレパートリー中、屈指のヒップホップ・トラック。元は打ち込みだったビートを効果音的なものも含めて完全なバンド・サウンドで違和感なく再現してみせる。やはり巧いバンドだ。
メンバーには一部変更があり、ベースがピノ・パラディーノの息子のロッコに、キーボードがボビー・スパークスに交代し、ホーンと女性シンガーは不在。その代わりに男性コーラスが2名に拡充された。大人気のドラマー、クリス・デイヴや、ジェシー・ジョンソン、アイザイア・シャーキーのツイン・ギターは続投。管がなく、しかもファンカデリックのカヴァーが比較的早い段階で飛び出したこともあり、ロック色が強まったようにも感じられたが、とはいえ、やはりファンク色が相当に濃い。たとえば、これまでにもCD上で取り上げたことのあるレジェンド級シンガーの著名曲を、80年代風シンセを交えたプリンスっぽくもあるアレンジでカヴァー。原曲を無視するかのような暴挙ながら、これが抜群に格好いいファンクなのだ。
ディアンジェロの太い腕はさらに逞しさを増し、ジェームス・ブラウンを思わせるこれまた超絶ファンキーなパートでは、マイク・スタンドの鮮やかな倒し技も完璧に決めた。パワフルなシャウトの一方で、ファルセットの美しさも際立つ。彼の表情は自信に満ちて、なによりステージを心底楽しんでいるように見える。去る2月のグラミーでは2冠に輝くなど、自身の作品が高い評価を受け、充実感を味わっていることもその背景にあるに違いない。いまの彼らは間違いなく脂が乗っている。そう確信させるに足る、眩いばかりのエネルギーが降り注ぐステージだった。
(荘 治虫)
なおディアンジェロは本日大阪にて、今回のツアーの最終公演を行うので、関西在住の方、もしは東京で見逃してしまった方もまだ遅くは無い。なお、すっかり日本のファンに魅せられてしまったディアンジェロは、今回の来日に際し、日本限定で、紙ジャケ仕様、未発表音源入りボーナスCD付2枚組で、更にオリジナル・バンダナ付きという超豪華来日記念盤『ブラック・メサイア~来日記念最強盤』も発売。ライヴにはどうしても足を運べないという方は、この来日記念盤でしか聴けないライヴ音源を堪能しながら、想いを馳せてみるのもいかがだろう?
【来日公演情報】
<終了>3月28日(月) 神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール→SOLD OUT
3月29日(火) 大阪 大阪国際会議場 メインホール
<問>クリエイティブマン:03-3499-6669
http://www.creativeman.co.jp/artist/2016/03dangelo/
今回の来日公演は前回行われたZEPP東京公演と比べると、収容観客数5,000人とかなり大きな会場であるパシフィコ横浜にて行われたが、そんな会場の広さを微塵も感じさせないパワフルさとダイナミズム、そしてファンとディアンジェロの相思相愛な関係から生まれる親密さに満ちた公演となった。
<ライヴレポート>
ディアンジェロ&ザ・ヴァンガードの再降臨がこんなにも早く実現するとは、うれしい誤算だ。大復活アルバム『ブラック・メサイア』を引っさげての初来日公演からわずか7ヵ月強という短いスパンでの再来日。普通だったらさすがに動員が心配されるところだが、なにせ前回はプレミアチケット化している。当然のように今回も前売りは早々にソールドアウト。昨夏に泣く泣く見送ったファンはもちろん、彼のライヴに味をしめてまたもや参戦という口も多いのではないだろうか。筆者自身もまた、あの興奮を再びという思いと、前回プレイしなかった曲をきっとやってくれるはず、という思い込みに近い期待を胸に抱いて初日の横浜に赴いた。
まだ大阪公演を残しているのですべてを詳らかにすることは控えたいが、ざっくり言うと、横浜公演の前半3曲の演目は前東京公演とは別のものへとめでたく変更された。割れるような歓声の中でスタートした冒頭曲は、彼のレパートリー中、屈指のヒップホップ・トラック。元は打ち込みだったビートを効果音的なものも含めて完全なバンド・サウンドで違和感なく再現してみせる。やはり巧いバンドだ。
メンバーには一部変更があり、ベースがピノ・パラディーノの息子のロッコに、キーボードがボビー・スパークスに交代し、ホーンと女性シンガーは不在。その代わりに男性コーラスが2名に拡充された。大人気のドラマー、クリス・デイヴや、ジェシー・ジョンソン、アイザイア・シャーキーのツイン・ギターは続投。管がなく、しかもファンカデリックのカヴァーが比較的早い段階で飛び出したこともあり、ロック色が強まったようにも感じられたが、とはいえ、やはりファンク色が相当に濃い。たとえば、これまでにもCD上で取り上げたことのあるレジェンド級シンガーの著名曲を、80年代風シンセを交えたプリンスっぽくもあるアレンジでカヴァー。原曲を無視するかのような暴挙ながら、これが抜群に格好いいファンクなのだ。
ディアンジェロの太い腕はさらに逞しさを増し、ジェームス・ブラウンを思わせるこれまた超絶ファンキーなパートでは、マイク・スタンドの鮮やかな倒し技も完璧に決めた。パワフルなシャウトの一方で、ファルセットの美しさも際立つ。彼の表情は自信に満ちて、なによりステージを心底楽しんでいるように見える。去る2月のグラミーでは2冠に輝くなど、自身の作品が高い評価を受け、充実感を味わっていることもその背景にあるに違いない。いまの彼らは間違いなく脂が乗っている。そう確信させるに足る、眩いばかりのエネルギーが降り注ぐステージだった。
(荘 治虫)
なおディアンジェロは本日大阪にて、今回のツアーの最終公演を行うので、関西在住の方、もしは東京で見逃してしまった方もまだ遅くは無い。なお、すっかり日本のファンに魅せられてしまったディアンジェロは、今回の来日に際し、日本限定で、紙ジャケ仕様、未発表音源入りボーナスCD付2枚組で、更にオリジナル・バンダナ付きという超豪華来日記念盤『ブラック・メサイア~来日記念最強盤』も発売。ライヴにはどうしても足を運べないという方は、この来日記念盤でしか聴けないライヴ音源を堪能しながら、想いを馳せてみるのもいかがだろう?
【来日公演情報】
<終了>3月28日(月) 神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール→SOLD OUT
3月29日(火) 大阪 大阪国際会議場 メインホール
<問>クリエイティブマン:03-3499-6669
http://www.creativeman.co.jp/artist/2016/03dangelo/