現在、AI 生成のアートや音楽が大きな話題を振り撒く中、スウェーデン発のサンプリング専門サイト「Tracklib」の新たな調査によると、音楽プロデューサーの間では AI 生成音楽に対する意外な抵抗感が根強いことが明らかとなった。 

1,107人の音楽プロデューサーを対象としたこの調査では、音楽プロデューサーの約25%が何らかの形で AI を使用しているという結果が出たが、これらのユーザーのほとんどは、AI をステム分離等の技術的なタスクに限定して使用しているとのことで、曲全体を作成するために AI を使用している割合は、わずか3%であるとのことだ。

また、AI を使用していない理由のトップは「芸術的な懸念」で、AI を使用していない人の82%が想像的な理由を挙げ、自分の芸術に対するコントロールを維持したいと述べている。
品質の問題を挙げている人は二番目に多く、34.5%の AI 非利用者は AI 生成音楽はプロの基準に達していないと考えている。興味深いことに、コストと著作権の懸念はそれほど重要視されていないようで、これらを挙げている割合はたったの15%未満であるとのことだ。

また、この調査では意外な世代間の分断も明らかとなった。
若いプロデューサーは音楽生成 AI に対して強い拒絶感を示し、年配のプロデューサーは創作プロセスを支援する AI に警戒しているとのことだ。

Tricklib の調査では、音楽における様々なタイプの AI に対するプロデューサーの態度を更に詳しく調べている。音楽制作プロセスを支援する補助 AI は、より温かく歓迎されている。回答者のほぼ50%が肯定的に捉えており、クリエイティブツールキットとして便利なツールであると見ているようだ。
対照的に、音楽要素やトラック全体を作成する生成 AI は、強い反対に直面しており、プロデューサーの大多数はこのテクノロジーに対して否定的な見解を示し、支持を示した割合は僅か一桁台という結果となった。


更に AI ツールに対する課金についての意欲は低く、AI 利用者の75%が無料オプションのみを使用。また、キャリアの浅いプロデューサーが最も支払い意欲が高いものの、月額25ドル(約4,000円)を超えることはないとのことだ。

音楽制作の現場で AI が採用されている割合は以前としてかなり低いものの、AI 技術の急速な進化を考えると、今後数年間で急速に増加する可能性は高い。

最近では、Spotify が AI を使用した実在しないアーティストに著作権使用料を支払っているという指摘もあり、今現在、音楽業界でこの技術が使用されるケースには、間違いなくプラスとマイナスの側面をはらんでいるが、一体これからどのように進んでいくのか、注意深く見守る必要があるだろう。