2026年7月28日(火)夜、フランス人 DJ/プロデューサー Kavinsky(カヴィンスキー)がパリの自宅にて死去したことが判明した。享年50歳。
普段家の近所で見かけていた Kavinsky を、数日間全く見かけていなかったことで安否を心配した隣人の通報により駆けつけた救急隊員が、Kavinsky がで倒れているところを発見。
パリ検察庁は「第一発見者である救急隊員が現場に不審な点を発見しなかったため、死亡の経緯を調べるため捜査が開始された」と声明を出した。フランスの日刊紙 Le Figaro によると、警察筋は「Belorgeyは数日間にわたって頭痛を訴えており、脳卒中の可能性が検討されている」と述べているとのことだ。
Kavinsky は、8月8日には、ドーヴィル近郊で開催される「Garten on the Beach Festival」ヘッドライナーとして、Bakermat や Bellaire とともに出演する予定となっていた。
1975年7月31日(死去3日前が誕生日だった)、パリ郊外のセーヌ=サン=ドニに生まれた Kavinsky は、母親と兄弟たちとともに育った。フランスの主要な日刊大衆紙 Le Parisien との2022年のインタビューでは「母は看護師で、両親が別れた後、私と兄弟を育ててくれた」と語っている。幼少期に無数の映画を観て育ち、「最高の場面だけを集めて1つのコンセプトに凝縮した」音楽を目指したという。
「Kavinsky とは、自分が作ったキャラクターだ——レコードのスリーブに自分の顔を載せるのは自分には合わない」と2000年代に語った通り、Kavinsky は架空の別人格を使用しており、アニメーション映像で描かれる Kavinsky は青い肌と赤い目を持つゾンビで「1986年にフェラーリ・テスタロッサで事故死し、20年後にゾンビとして蘇った男」という設定で、デビュー作から最後まで一貫した世界観を演出していた。
2000年代初頭に俳優としてのキャリアを始め、2007年には親友の DJ/プロデューサー Mr. Oizo(ミスター・オワゾ)としても知られる映画監督の Quentin Dupieux(カンタン・デュピュー)による映画『Steak』に出演。その頃すでに音楽制作を本格的に行っており、Justice(ジャスティス)や SebastiAn(セバスチャン)らを輩出した「Bloghouse」シーンの旗手として、自身のスタイルを確立していった。
2006年にファーストEP『Testarossa Autodrive』を Record Makers からリリースしてデビュー。その後5本のEPと2枚のアルバムを Record Makers からリリースした。2007年には Daft Punk(ダフト・パンク)のワールドツアーのオープニングアクトを務めた。
2010年4月2日、「Nightcall」をリリース。Daft Punk の Guy-Manuel de Homem-Christo と Kavinsky が共同制作し、SebastiAn がミックスを担当。ボーカルはブラジルのバンド CSS のフロントウーマン、Lovefoxxx(ラブフォックス)が務めた。ジャンルはシンセポップ・エレクトロ・シンセウェーブにまたがり、1980年代のジョン・カーペンター的サウンドと夜の孤独を融合させた楽曲だ。
リリース当時、フランスのシングルチャートで10位を記録。同作は2011年、ニコラス・ウィンディング・レフン監督、ライアン・ゴズリング主演のネオノワール犯罪映画『Drive』のオープニングクレジットに使用され、Kavinsky は後にこのときのことを「映画のオープニングクレジットを初めて観たとき、人生で最高の瞬間のひとつだった。ディズニーランドにいる子どものようだった」と語っている。
Kavinsky 最大のヒット曲の一つ「Nightcall」は、Spotify で5億回以上、YouTube で3億5,000万回再生され、フランスでダイヤモンド認定、ドイツでゴールド、英国でシルバーを獲得した。Childish Gambino(チャイルディッシュ・ガンビーノ)から Will Young(ウィル・ヤング)まで多くのアーティストにサンプリングされ、2010年代を代表する電子音楽トラックのひとつとなった。
2024年パリオリンピック閉会式(スタッド・ド・フランス)では、Phoenix(フェニックス)、ベルギー人シンガー Angèle とともに「Nightcall」を披露。この演奏は世界中で生中継され、新バージョン「Nightcall(feat. Phoenix & Angèle)」はフランスシングルチャート3位・ダイヤモンド認定という快挙を達成。Rolling Stoneは「オリンピック史上最高の音楽パフォーマンス8位」と評価した。
Kavinsky の死に際し、Angèle はインスタグラムストーリーに「immense tristesse(深い悲しみ)」と記し、「あの演奏に声をかけてくれたことへの感謝」を綴った。
Kavinsky は、2025年7月10日にはスタッド・ド・フランスでの The Weeknd(ザ・ウィークエンド)の「After Hours Til Dawn Tour」パリ公演のオープニングアクトを務めていた。The Weeknd も Kavinsky の死に関して 「この知らせを聞いて胸が張り裂けそうだ。多くの人への、そして自分自身へのインスピレーションだった。あなたの名前と音楽を称え続ける」と X に投稿している。
マクロン大統領は Facebook に「Kavinsky、永遠のフランスの誇り」と追悼。フランス文化相Catherine Pégardは「Driveからパリ五輪まで、世界全体が Nightcall の鼓動を感じてきた。世代と国境を超えて音楽は響き続ける」と称えた。













